映画の撮影期間中は、一日の撮影終了後、35mmフィルムを現像に出し、現像したものをVHS(今は、DVD)にコピーします。これをDailiesと呼びます。監督、カメラマン、プロデューサー、時にはメインの役者などが、撮影終了後に前日のDailies をチェックし、役者の演技、テクニカルの問題の有無など様々な確認をおこないます。プロデューサーは、Dailiesをみて、問題がないことを確認した後に、初めて前日撮影したセットの解体の指示を出します。なにか問題があった場合、撮影のやりなおしの可能性があるので、それまでセットを残しておく必要があります。このDailiesのチェックというのは、プロデューサーにとっては重要な仕事のひとつです。
この映画のプロデューサーの一人は、マコーレー・カルキン主演の『ホームアローン』を監督したクリス・コロンバスでした。彼は、その頃大流行していたERというTV番組(ジョージ・クルーニーがこの番組から映画界にブレイクしました。)の大ファンで、毎週水曜日の夜のERの時間帯とDailiesの試写が丁度同じ時間に当たるということが判明。どのようにコロンバスプロデューサーにDailiesのチェックをしてもらおう、と、真剣にプロダクションマネージャーが彼のアシスタントと話合っていました。大プロデュサーになると、こんな我がまま(?)が許させれるとは??これが、ハリウッドなのだ、と驚きました。
それ以降、シュワルツネガーと同じようにスタッフに対して気配りするスターは、ポール・ニューマンをはじめ、ジム・キャリー、サミュエル・L・ジャクソン、レイ・ウインストンなど数多くいました。きらびやかなハリウッドスターのなかに、彼らを支えているスタッフに対する感謝の気持ちを忘れないでいる人たちがいるということに感動しました。